NPO法人 スーパーダディ協会

「スーパーダディアワード2018」受賞  武田双雲 × SDA代表・高橋一晃 対談インタビュー『ポジティブな子育てを実践する武田双雲さんが語る「これからの新しい父親像」』(後編)

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スーパーダディアワード2018を受賞した書道家の武田双雲さんのアトリエにお邪魔して授賞式後、SDA代表の髙橋一晃代表との対談を行いました。その時の熱い語らいの模様の後編をお伝えします。

 

【これからは“家庭平和”が生活のコアになる】

SDA代表・髙橋一晃(以下、髙橋) 武田さんは、子育てだけでなく普段からポジティブな生き方を実践していらっしゃるわけですが、スーパーダディアワードを受賞されてからの今後は、父親としてどう過ごしていきたいと考えていらっしゃいますか? 数年後には米国に移住されるとお聞きしましたが。

武田双雲さん(以下、敬称略) カリフォルニアに移住する計画を立てているので、それも含めて、いろんな国の文化を子どもたちと一緒に共有していきたいと思っています。子どもたちと共に家族みんなで世界のカルチャーを学びながら、日本にフィードバックしていきたいと思っているところなんです。

髙橋 ご長男と一緒にアメリカ縦断などもやっていらっしゃいますよね?

武田 長男が小学校の時にやっています。その時、息子を向こうのサマースクールに通わせました。クルシュナムルティという有名な哲学者が作った学校でしたが、先生が好きなことしか語らないし、子どもたちも好きなことしかしない。思いついたことをみんなでやるといった学校で、カリキュラムがないんですよ。あの自由感というのは想像を遙かに超えていて衝撃的でした。

その時、先ほどお話ししたアウトドアメーカーのパタゴニアを訪問したのですが、父親としての子育ての感覚がまったく違ったんですよ。「子育て」なんていう言葉もないんじゃないかというくらい、みんなが自然体という感じ。会社のなかに幼稚園があって、みんなが子育てしながら当たり前のように仕事をしているし、パパ友、ママ友同士がリスペクトし合って仕事も助け合っている。

日本の昔の和の精神を「なんでアメリカの人たちが持っているんだよ」っていうくらい完全に家族社会。みんな仲間が大好きで、なんて幸福度高いんだろうって驚きの連発で、カルチャーショックでした。まさに幸福度が超高い企業でした。

それと比べて「日本ってぜんぜんダメだな」と思ってしまう自分が少し嫌でしたが、日本人なりに何かできると思うんですよ。だって、和の精神を元々、日本人は持っているわけですからね。

髙橋 武田さんが日本人の幸福度を高める試みというか、生き様にものすごく共感しています!

武田 こういうことが大事なんだということも誰かが言わないといけない。大事どころか、書道で言う「基本」でもありますよね。まず、家庭平和があって、その上で仕事が成り立たないと、人生なんてスカスカになってしまう。あくまでも家庭平和が人の生活のコアであることにみんなが気づかないと思います。

髙橋 特に都会で子育てをしている親は、自分というものを持ちにくいので難しいですよね。

武田 そうですよね。やはり、そんな話を哲学的に語ると難しくなる。ただ、子育てのノウハウを学んで「休日は子どもを遊園地に連れていく」とか、「妻にこんなプレゼントをする」とかってやっても、そんなに妻や子どもの幸福度は上がらないかもしれない。表面的なことばかりやっていては、いくら妻の立場に立って考えているといっても、実は不快でしかないかもしれません。

髙橋 確かに、なかなか妻の立場になって考え行動することは難しいことですよね。

武田 自分たちが仕事をするときにお客さんの立場になるとか、経営者の立場になるとか言ったって難しいことですから。だからこそ、やり甲斐があるというか……。コレをすれば妻がご機嫌になるというカンタンなことではないと思うので、いろいろ自分なりの試行錯誤をしてみる。それができるようになったら確実にスーパーダディになれるっていう道筋ができるといいですよね。なんか、スーパーサイヤ人みたいに、ね(笑)。

髙橋 ブワーって「力湧いてきたぜ!」っていう感じ?(笑)。実は、私たちが個々に目指しているスーパーダディ像というのは、それぞれの家庭におけるスーパーマン的存在なんです。

 

【スーパーダディになれた瞬間の顔とは!?】

武田 本当に家庭が平和になったとき、例えば、夫と妻がお互いを認め合っていて、そこに子どもも加わって家族がものすごく調和する。その時、パパの顔って、何かに勝利したときの顔ではなくて、愛情に満ちあふれている顔になっているんだと思います。たぶん、それが“スーパーダディになった瞬間”なんだと思うんですよね。そんな顔を日常的に作り出せるパパがたくさん増えて欲しいっていうのが、僕の願いですね。

世界平和のための一歩は家庭平和からだし、家庭平和の一歩は自分平和から始まる。まずは自分が自分の声を聞いていかないと、妻の声なんて聞こえてこないでしょう。だから、自分平和から家庭平和、さらに世界平和へ通じていく。こうやって絶対にすべてが繋がっているんです。やはり、すべてにおいて、自分と家庭というものを大切にするというそれぞれの哲学を持つということが大切なんだと思います。

例えば、時間を取って仕事をサボってでも子どもの面倒を見ているというのでは意味がないじゃないですか。やはり、そこはうまく、マネジメントするというか調和力をうまく保ちながら、自分も疲れることなく「やってあげている感」もなくやっていく。そこが1番、難しいところではあるんですけどね。

髙橋 自分の幸せ、家族の幸せ、さらに世界平和という話ですが、自分が幸せになったり平和に暮らすためには、絶対に家族の力が必要ですよね。やはり、ここがベースなんですよね。それがまさにスーパーダディの目指すところでありたい。スーパーダディをみんなが目指していて、方法論はそれぞれにあるけれども、ベースにあるものが今の話であって、そこを目指していけば間違いのない道筋が見えてくるような気がします。

 

武田 そうですよね。本当にこれが基本であるというか、集約してみると本当にシンプルでわかりやすい話だと思います。これこそが真の成功であるということ。なんか、こういった話をすることで、みんながアコガレるスーパーダディ像が見えてくるといいですよね。

髙橋 武田さんにもぜひ、SDAに加わっていただきたいです!

武田 いいですね。ぜひ! スーパーマン的なイメージっていいですよね。

 

【次世代のレベルに行くために必要なこと】

髙橋 会社員でもあるSDAのメンバーに最近、よく言われている働き方改革のことについて聞いたことがあります。そのメンバーの会社では、働き方改革という名のもとに残業については厳しくなったりしていて、有給は必ず70%以上消化するようにといった形だけの改革しか行われていないそうです。それって、社員の幸せについて本気で考えているように思えないですし、そこに何の哲学もないんじゃないかって、ふと今、思いました。

武田 それを僕は今、ワークショップや講演などで伝えているところなんですよ。学びにくる経営者の方たちは50代が多いのですが、それより下の世代になると、まだよくわかってないんですよね。世界の名だたる大企業でもマインドフルネス瞑想を実践したりして話題になっていますけど、意外にわかっていないところが多い。マインドフルネス瞑想というのは、「自分の身に今、起きていることに意識を集中させて、自分の感情・思考・感覚を冷静に認識することで現実を受け入れる」ためのトレーニング。すごくいいことなのに、何となく「ヨガやればいいんでしょ」と思っている人が多いんですよね。

ちょっと難しい話ではありますが、僕は日常のなかでメディテーション状態のゾーンに入るという手法を理解しているつもりなので、それを世界中に伝えてプラットフォームにしていきたいと思っています。これは、世阿弥や千利休がやろうとしたことでもありますが、僕は書道家として千利休や世阿弥の考えを使いながら、世界標準を作っていきたいと思っています。

髙橋 確かに少し難しい話ですが、もうちょっとかみ砕くとどういうことですか?

武田 「毎日の瞬間、瞬間の幸せを受け取る力」をみんなが持つようになれるといいなあ、と。朝起きたときにどれだけ幸せを感じるかとか、妻を見たときに、いかに新妻のように新鮮な感覚で見ることができるかっていうことですかね? アーティスティックな感性で見るっていう感覚。感性・感動みたいなところから感謝が生まれてきて、「なんて素晴らしい世界なんだ!」って思える気づきとでも言いましょうか。ちょっと宗教っぽくなっちゃうんだけど(笑)。

髙橋 武田さんが言うと、ぜんぜん、宗教っぽく感じませんよ。スピリチュアルなことって宗教につながりやすいんでしょうけれど、やはり、書道という道ごとでもあるので、その世界で活躍する人の話には頷いてしまいました。

武田 そう言ってもらえると、スゴく嬉しいですね。

 

【子育てをしているなかでの気づき】

武田 髙橋さんがスーパーダディ協会を始めたときの気づきと発想と行動って、まさにスピリチュアルな話で言えば、髙橋さんの気づきがたまたま天と繋がっちゃったんですよ。それで、導きという意味で今、髙橋さんは使者になっているんです。

次の世代の選ばれし者。普通は思いついてもやれないし、続けられない。でも、続けられてきたというのは、お導き。「あ、気づいたね!」っていう。じゃあ、次世代の「パパ2.0」じゃないけれど、次の人類のレベルに行くために、その活動は必要ですよっていう感じですよね。

髙橋 確かにそういうところがあるかもしれないですね。無理にみなさんにお願いしますよ、入ってよっていう感じではないですから。同じような匂いのする人たちが自然と集まってくる感じでここまでやってきました。

武田 子育てしているなかで何か気づきとか感動があっただろうし、その過程のなかで色んな苦しみもあったのでしょうけれど、そこに共鳴する人たちが集まってきているんでしょうね。スーパーダディ協会の拡がり、絶対に大きくなって欲しいですね!

髙橋 先日、会社の社長や会長の前で「もっと会社のことより子育ての話しましょうよ〜」っておちゃらけて言い過ぎちゃったんですけど(笑)、「子育て話は会社を明るくするかもしれないね」って。普通に子育ての話をエレベーターの中でするとか、会議をする前に「どうなの? この前、お弁当作るって言ってたけど、どうだったのよ?」といった会話をすると、それが潤滑油になったりして、会社でも楽しくなるし、まさに幸福度がアップします。

 

【これからの新ダディスタイルとは!?】

髙橋 ひとつ武田さんにお聞きしたいのですが、僕の息子が生まれたのは9年前です。当時はまだイクメンという言葉が出てきたばかりで、当時に比べたら父親の考え方や子育て環境、雰囲気はかなり変わってきたと感じます。先ほど、「パパ2.0」とおっしゃいましたが、それがもしかしたら3.0なのか4.0なのかもしれませんが、明らかに父親像というものが新しい時代になってきていると思うのですが、どう感じていらっしゃいますか?

武田 確かにそういうところはありますよね。それは僕だけが感じているのか、他のパパたちもみんな時代が変わってきたな、と感じているのかよくわからないですけどね。

髙橋 SDAのメンバーに聞いてみても、10年前は会社で子育ての話なんかできなかったという感じだったのが、今の若い世代のパパたちは普通に話もするし、子育てに積極的なパパがいても普通のことになってきているようですね。

武田 やはり、女性の社会進出も増えてきたというのがあるんでしょうね。ウチのスタッフのご主人が米国人なのですが、毎回、カルチャーショックを受けています。子育ての考え方がスゴい。近々、米国で個展をやるので同行してもらえないかと打診をしたんです。その時、ご主人が米国に行っている2週間、子どもの面倒見るから大丈夫と言うと、「ごめんね」と彼女は謝りました。

すると、彼女のご主人は「なんで謝るんだい?」と。「もし、僕が逆の立場だったら、夢ややりたいことがあるのに、子どもが足かせになるから諦めるなんてとんでもない。僕が2週間、子どもの面倒を見るのは当たり前だから、行ってきなよ」と。彼らの場合、夫婦の子育てに関する平等さが徹底されているんですよね。これからの子育てにおいて必要な感覚で、日本も男女が平等になっていくのではないかと思います。

男女の差がなくなっていくというかジェンダーレスになっていくというか。子育てはママがやるものだという昭和の意識がどんどん薄れていく。僕はどうしても昭和世代なので、家庭は女性が守るものだという意識が残っています。しかも、妻が今は専業主婦だし、僕に家事は一切やらなくていいと言ってくれているので、家事はほとんどやらないんですよ。その代わり、シッカリと子どもと遊んでいます。どっちかというと、子どもがもう1人いるっていう感じかもしれません(笑)。

 

髙橋 それはそれで、いいスタイルですよね。

 

【スーパーダディは世界基準では普通のこと】

武田 ウチはたまたま妻が今は専業主婦だからそうなっているけれど、男社会から男女平等の社会になっていくのかなっていう気はしています。

髙橋 私も同じ考え方ですね。スーパーダディ協会をやっていますと言うと、「何でそんなことをやってるの?」と思う人はいまだにいます。逆に海外生活の経験が長い人や欧米の人と話をすると、何で普通のことなのに、「わざわざスーパーダディと名乗って活動をしないといけないの?」と言われる。僕らがスーパーダディになろうぜって気持ちを高め、こうありたいと思っているとか、目指している父親像って実は普通のことで、それが世界基準では普通なんだよっていう。

スーパーと付けなくてもよくなり、普通のことになっていけばいいなあと思います。そうなったときに、世界基準でみても日本人のパパたちって素敵ねって思われるようなところまで行けるといいですよね。

最近は日本が観光立国を目指しているところもあって、どんどん海外から観光客が増えているじゃないですか。当然、子育て中の外国人観光客もやって来るので、その空気感が伝わってくる機会も増えて行くのではないかと思います。

武田 いわば、文化が混ざっていくということですよね。あと、僕の願いとしては、何はともあれ、みんなが幸せになって欲しいということ。家庭にいる時のお父さん、パパが幸せな時間が多いというか、機嫌のいい時間がより多くなるというか。なんだか疲れ切って、すぐに寝てしまうというのも別にいいんだけれど、家庭にいるときが幸せだなって思って欲しいですよね。

 

【親として必要な“いきあたりばっちり”という思想】

髙橋 そこにある「いきあたりばっちり」という書が気になったのですが、あれはどういう状況で書かれたんですか?

武田 最初の頃に「いきあたりばったり」が“ばっちり”になると面白いなと思ったんです。要するに、「幸せな状態でいると、いきたりばっちりなる」ということ。イライラしているとイライラさせる人が寄ってくるし、不安に思っていると、不安にさせる人がやって来る。感謝していると、感謝したくなる人が寄ってくるんですよ。

心構えみたいなものが決まると、それがやって来るから、先に自分を肯定して家族と一緒に仲良くなってそこに身近な幸福があれば、何やってもバッチリになるっていう意味です。

髙橋 なるほど! でも、子育ては「いきあたりばったり」のほうがいいような気もするんですけどね。

武田 そこを敢えて「ばっちり」と言ったほうがいいんです。

髙橋 ちなみに、スーパーダディを一字で表すと何になりますでしょうか?

武田 なんでしょうねぇ……、書道家としては、普通に父という文字が浮かびますよね。すんごい幸せで、力強くも緩んだときのスーパーマンみたいなイメージですね。

髙橋 子どもって、どういうふうに育つかわからないので、父親として動揺することなく力強く生きたいですね。

武田 そうですよね。子どもはコントロールなんてできないですから。たぶん、髙橋さんが言いたかったことは、言葉で発したことのほんの一部だったと思うんですけど、子どもの無限の可能性に対して器をデカく構えて眺められる父親って、まさにスーパーダディじゃないですか。こうしろ、ああしろって言わない親のほうが、器がデカいというか。

髙橋 そこは最大のポイントですよね。普通はなかなかそこまでできないですから。

武田 やはり、親は世の中の常識をどうしても押しつけたくなりますよね。これじゃあいかんって。オレたちの時代はなあ、って。

髙橋 子どもが宿題をやっているときに「何でこんな問題が解けないんだろう」って思ってしまうと、つい小言を言ってしまいそうになる。「解けなくてもいいじゃん」って思わないといけないのに、なれない。そういう小さい器になっちゃうんですよね。「正解じゃないけど、それ、面白い答えだねぇ」などと言えたらいいのですが。

武田 人格選択論というのを最近考えています。人間って、小さい器をたくさん持っているんですよ。ヒドい男からスーパーダディまで、すでにみんな持ち合わせていて、その人なりの癖で選択しているんじゃないか、と。いつもたまたま癖で選んでいるだけで、何かの集まりに参加したり、何か気づきがあったときに、違う器を選ぶことができる。

カセットテープのように選んで入れ替えることができるようになれば、今日は器のデカい夫でいようかなと思えるようになる。子どもに対してついつい口うるさくなりそうな時に、「ありがとう」の器に変えてみたりもできますしね。

 

【日本のパパたちの気持ちを変えていきたい】

髙橋 まだまだお話をお聞きしたいところですが、実際にお会いさせていただいて、ものすごく共通点があるなあと感じました。今日はお会いできて良かったです。これを入口にして、またぜひ、飲み会でもいいですし、ただの雑談でもいいですので、ぜひ、お話させてください。

武田 そうですね。スーパーダディ協会の活動は絶対に意義のあることです。政治家がどんな政策を立てるよりも重要な、本当に超重要なソフトウェアだと思います。システムだけじゃない、哲学的なソフトウェアの部分での話に僕も本当に共感しましたし、本当にありがたいです。

僕も家庭を平和にする智恵とか、本を書いたりしてきましたが、同じような考えを伝えてくれる仲間がいるというだけで、本当に嬉しかったです。「あ、仲間が来た!」みたいな(笑)。

髙橋 意識改革と言うとちょっと固いイメージになりそうですが、男たち、日本のパパたちの気持ちを変えていきたいと思っています。ありがとうございました!

 

(構成・文/國尾一樹  写真/たつろう)

対談インタビュー前編はこちら

武田双雲(たけだそううん)

1975年熊本生まれ。東京理科大学卒業後、NTTに就職。約3年後に書道家として独立。NHK大河ドラマ「天地人」や世界遺産「平泉」、スーパーコンピュータ「京」など、数々の題字を手掛ける。独自の世界観で、個展や講演活動を行っている。メディア出演も多数。主宰する書道教室には約300名の門下生が通う。(2005年新規募集締切)2013年度文化庁から文化交流使に任命され、ベトナム~インドネシアにて書道イベントを開催、また、2015年にはカリフォルニア州にて個展開催など、世界各国で活動する。作品集「たのしか」「絆」や「ポジティブの教科書」など、著書も多数出版。各情報発信メディアはコチラ。「公式サイト」Twitter」Facebook」アメブロ」LINEブログ」